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2024.09.02

自民党総裁選挙で問われるべきこと

自民党の総裁選挙が迫ってきました。大統領選挙のない日本では、国民は国の政治のトップを直接選ぶことができません。内閣総理大臣は国会議員の中で行われる選挙(首班指名)によって選ばれます。しかし、自民党員に限っては総裁選挙に参加することによって総理を直接選ぶことができます。自民党員になる最大のメリットはここにあります(自民党員をご希望の方はこちらから)。

自民党所属の国会議員にはより重い一票が託されます。総裁選に議員票を持つ国会議員は367人。これは党員2973票に相当します。それだけに議員一人一人の責任は重いと言えます。

自民党総裁選2024

自民党総裁選2024(ホームページへ移動)

選挙の顔で良いのか?

前回の総選挙が行われてから3年の月日が経ちました。岸田文雄政権で信を問うたわけですから、新たな総理が誕生したら再び信を問うのが常道でしょう。秋の解散総選挙は近いとみるべきです。

小選挙区で問われるのは議員本人の評価と党首力です。議員は誰しも選挙で勝ち残りたいですから、総裁選挙で国民人気の高い候補者を勝たせたいと思うものです。しかし、私は派閥のパーティー券問題(いわゆる裏金問題)を抱える自民党が顔だけ変えてこの局面をやり過ごそうと考えると国民から厳しい審判を受ける可能性が高いと考えています。

2012年に民主党政権から政権を奪還してから12年。国民の中には自民党政権の驕りと緩みを正そうというマグマがたまっています。自民党は非自民連立政権から1996年に政権を奪還しましたが、2009年に再び政権を失っています。その間13年。「歴史は繰り返す」と言いますが、繰り返さないために自民党ができることは何か。

 

厳しい安全保障環境は政権交代による政策の停滞を許さない

私は毎年夏、自民党の同僚議員、元自衛隊幹部、元各省幹部とともに台湾海峡危機政策シミュレーションを行っています。先日のシミュレーションの中で、わが国の安全保障環境がかつてないほど厳しい状況にあることを改めて痛感しました。かつて野党に身を置いた私は、この難局を乗り越えるためには自民党と公明党の連立政権しかないと確信しています。

自民党総裁選挙と時を同じくして行われる立憲民主党の代表選挙に野田佳彦元総理が出馬することになりました。野田氏の「もう一度総理を目指す」という発言には近年の野党にはない迫力がありました。

2014年の民主党の代表選挙に出馬してから2017年に離党するまで、共産党との共闘を拒否し、保守政党として民主党を立て直そうと全力を尽くしました。支持基盤から見ても立憲民主党の体質が変わることはありませんが、自民党の体たらくを目の当たりにして、国民がもう一度野党に期待をかける可能性が出てきました。

我々は「政権与党はなぜ自民党でなければならないのか」という積極的な理由を国民に示さなければならないのです。試練ではありますが、私は自民党再生の大きな機会でもあると捉えています。

 

政治改革で自民党は生まれ変われるか

新しい総裁の備えるべき前提条件は政治改革をやりきる覚悟でしょう。裏金問題で失った信頼を回復し、見せかけではない改革をやり抜く覚悟が求められます。

岸田総裁は自ら政治倫理審査会への出席を決断し、派閥を解散し、パーティー券の公開基準を公明党の主張する5万円まで引き下げることを決断しました。国民の理解を得ることはできませんでしたが、最後は自ら身を引くことで自民党を変えたいという思いを持っておられたことは間違いありません。総裁選不出馬を明言した会見で、新総裁に望むこととして「政治改革が後戻りすることがないような方」と語ったのは岸田総裁の本音だと思います。

かつて自民党はロッキード事件、リクルート事件などの政治と金の問題を党内改革を実現して乗り越えてきました。今回は多くの逮捕者を出す深刻な事態であるにもかかわらず、党内で熱量を感じることができません。総裁選を通じて、その熱量が大きい候補が誰なのかを見極めなければなりません。

 

安全保障政策に着実に取り組み、他国の首脳と渡り合えるのは誰か

自民党が政権を維持し続けなければならない最大の理由は安全保障環境の厳しさです。ロシアの暴走、北朝鮮のミサイル能力の向上、中国の強大化により東アジアの安全保障環境は激変しました。我が国周辺の安全保障環境は、細川護熙政権が誕生した1993年、民主党政権が誕生した2009年当時とは全く異なります。

仮に政権交代が実現して外交安全保障政策に断絶が生じることによるリスクは、かつてとは全く異なるレベルに達するでしょう。その間隙を力による現状変更を目指す周辺国がついてくる可能性は否定できません。

新たな自民党総裁は、安全保障政策に着実に取り組む能力と、他国の首脳と渡り合える実力を備えていなければなりません。外交安全保障の分野で実績のある総裁候補が揃っていますし、若くとも素養を持つ自民党議員は存在していますが、その中で国民の命を託せる人物が誰なのかを見極めるのは容易ではありません。

 

デフレを克服し、日本経済を成長させることができるのは誰か?

憲法改正、社会保障、選択的夫婦別姓などの内政など、私が注目している論点は多岐にわたりますが、候補者が備えるべき必須の条件は経済政策です。

コロナが終息し企業業績が回復したことで株価は上昇しました。2年以上続いた実質賃金の下落にようやく歯止めがかかり、日本経済は円安によるコストプッシュ型のインフレからディマンドプル型のインフレに転換できるかどうか、正念場を迎えています。

この時期に急激な金融引き締めや緊縮財政への転換を行うと、私は日本経済が浮かび上がる機会を逸する可能性が高いと考えています。私の初任給と娘の初任給がほぼ一緒という、経済的には夢も希望もない30年間を過ごしてしまった我が国の経済を立て直すことは、我々の世代の責任です。

金融政策と財政政策は経済の基礎を形作るものですが、わが国が魅力的な商品やサービスを世に出していかなければ、経済を持続的に成長させることはできません。その意味で、経済安全保障など国家として必要な分野の投資を促し、サプライサイドの規制改革に取り組むことは極めて重要です。

 

秋は政治の季節

自民党総裁選挙、立憲民主党の代表選挙の後には総選挙が濃厚です。総理を決める大切な選挙ですので総裁選挙には積極的にかかわることとします。

政治とは「ことを為す」ことです。国家の基本たるエネルギー政策(現在、エネルギー基本計画改定という大切な時期を迎えています)、安全保障政策(特に自衛官になり手がいない深刻な状況の打破)、子どもの貧困問題(議員によるワーキングチームを立ち上げて集中的に議論し、成果が出てきています)、そして地元の政策実現(狩野川放水路拡張など)などにかかわることで、自らの政治家としての役割を強く自覚するようになりました。

来るべき戦いでは、自民党議員として初めての国民の審判を受けたいと思います。

子どもの貧困対策推進議員連盟「教育格差について考えるワーキングチーム」

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