新たな年の幕が開きました。国会では間もなく安全保障、エネルギーなどを巡る議論が始まります。3.11の時に官邸の真ん中で原発事故を経験した政治家は自民党には私しかいません。あの時、全ての原発が止まり我が国は深刻なエネルギー危機に直面しました。国家の背骨が折られそうな局面にあって自衛隊が大きな役割を果たし米軍がそれを支援しました。
あれから12年が経過し、ロシアのウクライナ侵略により世界的なエネルギー危機が到来し、我が国を巡る安全保障環境は急速に悪化しました。政府与党の一員となった今、危機的な状況にあって3.11の経験を生かすことこそ私の政治家としての使命だと考えています。
通常国会では法案が出てくる原発が大議論になるでしょう。3.11を官邸の真ん中で経験した私がなぜ原発を推進するのかよく聞かれます。あの原発事故の恐怖は忘れたくても忘れられません。10年間、脱原発・再エネに挑戦した結果、子供達に豊かさを継承するには原発が必要というのが私の結論です。もちろん原発の厳しい安全審査は絶対の条件です。
この春には私が後押ししてきた福島の処理水の海洋放出がリミットを迎えます。科学的にはすでに決着がついていますが、残念ながら海外も含めて悪質な確信犯もいます。政府や東電の丁寧な説明は大前提ですが、デマや風評加害に対しては毅然とした反論が必要です。原発事故直後にこの問題を担当した責任者として全力でサポートしていきます。
厳しい政権運営が予想される岸田政権ですが、4月に発足する子ども家庭庁をスタートダッシュさせるなど、着実に政策を実現する以外に道はありません。
私自身が長年取り組んできた児童虐待への対応は厚労省から子ども家庭庁に移ります。昨年末に厚労省により指針が示された宗教二世への虐待には地元児童相談所と連携して取り組みます。幼稚園にも保育園にも行っていない「無園児」は全国に180万人以上います。私が菅義偉官房長官(当時)に依頼した調査で判明した声なき声です。
昨年末、地元の裾野市で保育士による園児虐待が報じられ大きな社会問題になりました。背景には保育士の配置基準(0歳児3人に対して保育士1人、4、5歳児30人に対して保育士1人。とても常人が見られる数ではありません…)や待遇の低さがあり、改善が急務です。子どもを取り巻く多様かつ深刻な課題に全力で取り組みます。
新しい政策(歳出)をやろうとする度に増税という政治では何もできません。中長期的に成長(税収増)につながるので、この政策を優先してやるべきという議論に持っていきたいと思います。特に子ども政策はそういう性格を持っています。いわば「未来への投資」です。
「安全保障は現実主義、内政は弱い者のため」という私の政治理念はこれからも変わることはありません。
防衛費GDP2%も子ども政策の充実も経済成長なくして持続しません。鍵は賃上げ、特に若い人たちの給料アップにあると私は考えています。
私の親の世代の初任給は2万円未満。10倍の豊かさを子の世代に引き継ぎました。対照的に私の子の世代の初任給は大卒で18万円代と私の世代とほぼ同じです。政治家として豊かさを引き継げていないこと、経済的自立すら難しい所得で若者を社会に出すことに責任を感じています。
「大学の学費は上がったのに大卒の初任給が同じということは、大学の価値が下がったということ?」「30年前はなかった携帯代はあるし、3年に1度はパソコン買い替えなきゃならないから、親の世代より貧しくなっている。車の免許も30万近くかかって大変」。私のところに届いた若者からの声です。「今や若者こそ社会的に弱い立場」と言っても過言ではないと思います。
今の若い人は物欲がないと言われることがありますが、実際にはこの記事にあるように「若者達は就職氷河期の1990年代後半から2000年代前半と、リーマンショック後に大きな二つの所得減少の大波を受け」「若者が若者のうちに結婚できない」というのが実状だと思います。
政府としてやれることの一つは公務員の初任給を上げることです。キャリア官僚の初任給18万円代は日本の貧しさの象徴です。地方では市役所(町役場)は優良就職先ですが、その初任給が高卒15万円代と最低賃金ギリギリの水準で、大卒も18万円代です。小泉政権で人事院勧告のベースである民間給与の企業規模が「100人以上」から「50人以上」となり地方公務員給与も下落しました。当時の公務員叩きも反省しここで流れを変えたいと思います。
ある地元市長に「若者の給料を上げるために、市役所の初任給を率先して上げたらどうか」と提案したところ、「総務省に目をつけられて地方交付税を減らされるのが恐い」と話していました。地方では財務省よりはるかに総務省が恐れられています。この構造を変える必要があると思います。
これまで地域の所得水準を上げる方法として最低賃金の引き上げが議論されてきました。最賃の引き上げはボトムアップに過ぎず全体の給与の引き上げにはつながりません。地域のリーディングカンパニー、それがない地域では市役所(町役場)や公共事業にかかわる分野で給与を引き上げる方が地域全体の所得水準を上げるのに効果的だと考えています。熊本では台湾の半導体メーカーであるTSMCが大卒技術者に28万円の初任給を提示したことで、周辺の他社にも追随する動きが出ていると報じられています。
<TSMCが熊本進出 経済効果「4.3兆円」動き出す建設、雇用【WBS】>
要するに、みんなで貧しくなるのではなく給料を上げられるところから上げて全体で豊かになることを目指すべきです。
昨年、ツイッター社の従業員解雇が話題になりました。日本の雇用慣行を考えると厳しい措置ですが、こういうことが行われている国、企業と競争しなければならないということを頭に入れておかなければなりません。職種にもよりますが、転職という選択肢があれば企業に残ったとしても労働者の立場は強くなります。私は「失業なき雇用流動化」は国民全体の所得にもプラスだと考えています。
日本の政策や労働慣習は雇用を守る側に偏りすぎています。年功序列型賃金体系の限界は以前から指摘されてきましたが、多くの企業で依然として残っています。退職金優遇する制度も変えるべき時だと思います。本当にお金が必要なのは結婚や子育てを考えると20代から40代。若いときは給料以上に働いて中高年になってから会社から貯金を回収するというシステムは経済合理性を欠いていますし、労働者個人のワークライフバランスの視点で見ても良くありません。
人生100年、一つの仕事(会社)で人生を全うできる時代ではなくなりました。岸田総理が提案する「リスキニング」は時宜を得た政策です。政府は中高年を含めたあらゆる世代の「リスキリング」をサポートすることで人生100年時代に備えるべきです。今年は同僚議員と議論を重ね具体的提案をしていきます。
岳南地区においては西富士駿河環状構想、田子の浦港と岩本山の観光振興など。三島田方地区においては函南メガソーラーの阻止と狩野川放水路の拡張による治水対策、伊豆湘南道路、長岡温泉の再開発など。北駿地区においては演習場周辺の防音工事の改修、仙石原新田線、国道246号線の4車線化(小山町内)など。これまで取り組んできた課題を一つ一つ前進させるべく全力を尽くします。
今年は地元である富士山周辺を世界中からスポーツを楽しむ人たちが集まる場所にするMt. Fuji スポーツワールド構想の実現に向けて第一歩を踏み出す年にしたいと思います。
4月には全国で統一地方選挙が行われます。目指す政策を実現するためには地元の信頼できる仲間がどうしても必要です。是非ともご理解を賜りますようお願い申し上げます。
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