参議院選挙が始まりました。この選挙は私にとって自民党議員としての初陣です。静岡選挙区では若林ようへい氏の支援に全力を尽くします。若林氏の最大の強みは、三つの駐屯地と東富士演習場を抱える御殿場市の市長として自衛隊と深く付き合ってきたことと、豪雪対応やコロナ対応の陣頭指揮を取ってきた危機管理能力です。
ロシアに不法占拠されている北方領土は根室半島の目と鼻の先です。中国大陸は尖閣諸島から330キロにあります。北朝鮮は頻繁に日本海にミサイルを撃ち込んできています。各党の参院選公約を見ると安全保障を冒頭に置いたのは自民党のみです。
NATO諸国の国防予算の対GDP比目標(2%以上)も念頭に、真に必要な防衛関係費 を積み上げ、来年度から5年以内に、防衛力の抜本的強化に必要な予算水準の達成を 目指します。
<自民党政策パンフレット>
https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/pamphlet/202206_pamphlet.pdf
防衛費の大幅増については立憲、共産、社民、れいわのいわゆるリベラル政党から批判が出ています。安全保障環境が激変している中で、リベラル政党も変化を迫られているのではないでしょうか。
立憲民主党からはGDP比2%は総額ありきとの批判がありますが、国家の危機にあっては政策の決定プロセスも変更が必要です。これだけ環境の激変があったのですから、政治が大枠の判断を行い、その判断に基づいて陸・海・空幕長と官僚が継戦能力、反撃力、研究開発、自衛官の待遇等を積み上げるアプローチをとるべきです。
ロシアのウクライナ侵攻を受けて最初に政策を転換したのはドイツでした。国防費の大幅増を打ち出したドイツのシュルツ首相はリベラル系の社会民主党に所属しています。ロシアとの国境から1400キロ離れているドイツは国防費を倍増させたことを考えても、NATO基準のGDP比2%は決して過大ではありません。
わが国は冷戦以降、周辺国が軍拡を続ける中で防衛費を抑制してきました。2020年の日本企業の防衛売上の割合は三菱重工・13%、川崎重工・16%、富士通・4%、IHI・10%、三菱電機・2%ですが、他方で米国企業の防衛売上の割合はロッキードマーチン・89%、ボーイング・55%です。防衛売上を金額ベースで見ると日本企業の十倍以上です。防衛費の増額でわが国の防衛産業を立て直さないと国防そのものが危うい状況にあります。
秋以降、防衛費GDP比2%の実現は財務省との攻防になります。大蔵省は戦後「戦費の調達(戦争)に加担」したという贖罪を背負って再出発しました。組織としてのトラウマは今も消えていません。今、求められているのは当時とは真逆で「戦争を起こさない」、つまり抑止のための防衛費の調達です。やはり政治の決断にかかっています。
野党から『岸田インフレ』を批判する声が聞こえてきています。しかし、エネルギー価格と穀物価格の高騰はウクライナ危機に端を発した国際的問題です。インフレ率がすでに8%に達している米国などと比較しても、日本のインフレ率は2%程度にとどまっています。円安という、もう一つのインフレ要素もあることを考えると政府の対応が間違っているとは思えません。
私はインフレそのものを批判するより、賃上げを実現する具体的政策を競った方が生産的だと思います。私が自民党の公約でポイントに挙げたいのが、
人への投資を促進し、25年ぶりの本格的な賃金増時代を創ります。
の部分です。これは公約としては野心的ですが、実現できなければ円安と物価高で国民が貧しくなります。
問題は具体的にどのように賃金増を実現するかです。同一労働同一賃金や最低賃金アップは一つの方法ですが、生産性そのものが高まらなければ賃上げは持続しません。自民党の公約には、
規制緩和と税制など政策総動員で魅力的な投資環境を実現します。世界のマネーを呼び込むと共に、「貯蓄から投資へ」の流れを大胆に生み出し、成長の果実を多くの国民が手にする資産所得倍増社会を実現します。
とあります。参議院選挙後は国政選挙の予定がない『黄金の三年間』を迎えます。私は憲法改正に加えて、規制改革やスタートアップ支援が次の大きな課題になると考えています。
円安とサプライチェーンの再構築の両面で、製造業の国内回帰の動きが期待されます。そこに規制改革を断行して我が国の成長力を高め、賃上げにつなげていかなければなりません。その時に政府から節電要請されるか分からないような状況では話になりません。私が原発の再稼働について繰り返し提案をしているのはそのためです。
<細野豪志ブログ 原発再稼働にむけて政治の出番>
https://www.gohosono.com/blog/2417/
再生エネルギー一辺倒の国際世論にも変化が生じています。ロシアのウクライナ侵攻後、フランスは原子力投資に舵を切り、ドイツは石炭に回帰しています。カーボンニュートラルの国際世論を先導してきた欧州ですが、彼らは自国の都合でルールを変えてきます。日本選手が席巻するようになったノルディック複合競技でジャンプの配分を下げた事実を思い出すべきです。我が国の先進的な石炭火力にCCS、アンモニア混焼等を組み合わせれば、脱炭素と十分に整合性のある説明が可能です。エネルギー供給を再生エネルギーの一本足にするのは国家としてあまりにリスクが大きすぎますし現実的ではありません。日本は原子力や石炭というこれまで培ってきた選択肢を手放すべきではありません。
ロシアのウクライナ侵攻でエネルギーをめぐる環境は激変しました。再生エネルギーへの投資は継続していかなければなりませんが、エネルギー源の選択肢を多様化しておくことは国家として死活的に重要です。軍事に加えエネルギーは安全保障の根幹だということを我々は肝に銘じなければなりません。
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