昨年来、田子の浦港の振興に集中的に取り組んでいます。私が田子の浦港振興に取り組みだしたのは、鈴木尚市長の時代の8年前に遡ります。
田子の浦港には、港の中(内水)の整備を担当する国(国交省)、港全体を管理する静岡県、港の荷役事業などを行う田子の浦埠頭株式会社、漁業をつかさどる田子の浦漁協、そして富士市と、実に多くの機関が関わっています。
まさに、船頭多くして船山に上る。効果的な振興策が打たれてきませんでした。こうした状況を打破するために、関係者を一堂に集めて総合的な振興策をつくってほしいと当時の鈴木尚富士市長に要望しました。そこで立ち上がったのが「田子の浦港振興ビジョン推進協議会」です。この協議会で「田子の浦港振興ビジョン」が策定され、地元の事業者が参加する田子浦マルシェの開催や、クルーズ船の誘致が行われてきました。これまでの関係者の皆さんの努力に敬意を表したいと思います。一方で、こうした取り組みをベースに、田子の浦港の振興を一歩前に進めるべきだと私は考えています。
田子の浦港は富士市の観光の鍵を握る場所です。多くの観光客を迎えている清水港や沼津港と比較しても、田子の浦港から見る富士山の眺めは圧倒的です。日本一深い駿河湾、日本三大急流の富士川を見渡し、他に類を見ない風光明媚な場所です。また、富士市の玄関口である東海道新幹線新富士駅や東海道本線吉原駅にも近く、国道1号にも直結しているアクセスの良い場所です。現在、国が整備を進めている国道139号富士改良が開通すれば、田子の浦港から富士市内へのアクセスは更に良くなります。
静岡県によって整備されたふじのくに田子の浦みなと公園には飲食施設が一切ないにも関わらず、平日は地元の人たち、週末になると遠方からも観光客が訪れています。整備を進めれば国内外に誇れる観光地になる可能性を持っています。
昨年、地元有志の皆さんが「田子浦みなとみらいプロジェクト」を立ち上げました。
皆さんと議論する中で、私は早期にみなと公園へのキッチンカーの誘致を実現し、同時にカフェの設置についても可能性を探ることを提案しました。カフェが実現すれば、「日本一富士山が美しく見えるカフェ」として人気を博すことは間違いありません。こうした事業を実現するためには、清掃や駐車場などの問題をクリアする必要があり、現在、公園の管理を行ってくださっている「NPO法人みなと・まち育て田子浦」をはじめとした地元の方々の理解は欠かせません。
振興ビジョンには、みなと公園北側の網小屋を移転し、みなと公園から漁協に向かう歩道をプロムナードとして整備する計画があります。この場所はみなと公園と並ぶ富士山の絶好のビューポイントです。この計画を是非とも早期に実現したいと思います。プロムナードには民間事業者の参入も促すことで、すでに名物となっている漁協の「しらす丼」との相乗効果も期待できます。
みなと公園と網小屋設置場所での提案は、いずれも田子の浦港の工業港として使われているエリアとのすみ分けを前提としたものです。今後も、田子の浦港は工業港として大きな役割を果たしていきます。その役割を維持しながら、時間をかけてクルーズ船のお客様を迎え入れる設備の充実や、陸から田子の浦港に観光に訪れる人たちの受け入れについて、田子の浦港全体の整備を進めていくべきです。
工業の街として栄えてきた富士市は、近隣の市町と比較しても観光については遅れを取ってきました。「富士」というブランドを冠しながら、富士山という最高の観光遺産を生かし切れませんでした。富士市内には、常葉大学の跡地に設置されたスポーツ施設「エスプラット フジスパーク」、岩本山公園、須津川渓谷など富士山観光の拠点となりうる施設が複数存在しています。田子の浦港の整備と道路整備が進めば、富士宮市の浅間大社や富士山世界遺産センターとの連携も視野に入ってきます。
コロナ禍で観光は冬の時代を迎えています。ここで力を蓄え、環境を整えることで、コロナ後に再び来るであろう大観光時代に富士市を売り出していく機会と捉えるべきです。細野豪志は、その実現の為に最大限の努力を行ってまいります。
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