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2017.06.13

生活保護家庭の進学で小さな一歩

今年に入って取り組んできた生活保護家庭の大学、専門学校への進学について、具体的な成果が見えてきた。

 

6月9日に閣議決定された『経済財政運営の基本方針(いわゆる骨太)2017』の「社会保障」の項目には、「生活保護世帯の子供の大学等への進学を含めた自立支援に、必要な財源を確保しつつ取り組む」という文章が入った。各省は、『骨太』に実現を目指す政策を入れることで、次年度の予算編成の第一歩を踏み出すのが、この時期の年中行事になっている。『骨太』の作成には、予算の元締たる財務省も関与する。『骨太』に上記の文章が入ったことで、来年度、生活保護家庭の進学について、何らかの予算がつくことは確実になった。

 

私が問題としてきたのは、生活保護世帯の子どもは、世帯分離しなければ、大学や専門学校に進学することができないことだ。東京都23区の母一人、子一人の世帯の子どもが、大学か専門学校に進学すると、生活保護費の中から月額52,300円が減額される。これまでは、意欲や能力があるのに、親の生活苦を招きたくないと考えて進学を断念する若者が少なくなかった。

 

当初は、進学後一年か二年、世帯分離の猶予ができないかと考えたが、世帯分離そのものの廃止については政府の壁は依然として厚い。そこで、せめて子どもが同居している場合の住宅扶助の維持ができないか働きかけたところ、何とか実現に至りそうだ。すなわち、住宅扶助の子どもの加算部分10,300円が維持されることで、生活保護費の減額は月額42,000円に縮減される。結果として、進学した子どもが同居しているのに引っ越しをしなければならないなどという理不尽な話はなくなる。小さな一歩だが、高校進学が認められた昭和45年以降、動かなかった18歳以降の進学について、風穴が開いたことは間違いない。

 

問題は、実家を出て大学や専門学校に進学するケースだ。高知から東大に進学した島田君のケースを見ても、親のサポートを一切得られない中で、東京で一人生活を始めるハードルは極めて高い。生活保護制度には、生活保護から脱して働きだした場合、就労自立給付金が支給される制度がある。大学や専門学校に進学すると、(その是非は別にして)生活保護世帯から分離されるということは、自立した生活を行う一歩と捉えることができる。就労自立給付金と類似した制度を子どもたちの進学に導入することはできないだろうか。私は、「生活保護世帯の子供の大学等への進学を含めた自立支援」という『骨太』の言葉から、厚労省にもその意欲ありと見ている。6月に入り、高校三年生にとって進学の判断の時期が迫っている。あと一押しは、我々政治家の出番だ。

 

 

通常国会冒頭の予算委員会で質問してから、子どもの貧困議連の田村憲久会長、長島昭久幹事長、政府の中では塩崎厚労相、そして名前は出せないが多くの政府高官に直接働きかけてきた。民進党では厚労委員会の野党筆頭理事である柚木道義議員が頑張ってくれた。皆さんの力がなければ、一介の野党議員の私がどんなに声高に叫んだところで、生活保護制度に風穴を開けることなどできなかっただろう。森友や加計など、今国会は与野党が激しく対立する国会となったが、子どもの貧困というわが国の最も深刻な問題について、与野党が協力して取り組み、地味ではあるが一歩を踏みだすことができた。政治家になった以上、多くの議員が社会を良くするために何かしたいと思っているものなのだということをできるだけ多くの人に知ってもらいたい。

 

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